Case report ケースレポート
Novellus Vol.29
進行癌患者における合成高分子コーティングを施した末梢留置型中心静脈カテーテル(PICC)の有効性について
抗がん剤治療を完遂するために皆様が重要とされていることはどのようなことでしょうか。様々なポイントがあると存じますが、「確実・安全に薬剤を投与できる投与経路やカテーテルを選択すること」はその中の一つではないでしょうか。
末梢静脈からの投与では、血管が細く、抗がん剤の刺激などによる血管外漏出の問題、外来化学療法者数の増加等の問題があり、中心静脈からの投与が一般的となっています。
その中でも、尺側皮静脈や橈骨静脈から挿入する末梢留置型中心静脈カテーテル:PICC(peripherally inserted central catheter)は、内頸静脈や鎖骨下静脈から挿入するCVカテーテル/CVポートと比較して致死性合併症のリスクが極めて少なく、より安全で確実なカテーテル留置が可能となります。
PICCの弱点は、静脈血栓症の頻度が相対的に高い点と言われており、当社ではその対策として合成高分子コーティングを施したPICCを2016年より販売しております。この合成高分子コーティングは血栓の原因となる因子を抑制し、抗血栓性を発現させます。
今回、進行癌患者において、コーティングのないPICCと合成高分子コーティングを施したPICCでの安全性と有用性の検討を初めてされたケースレポートをご紹介いたします。
ぜひご一読いただき、長期間の安定した投与経路やカテーテル選択について再確認いただき、皆様のご施設での安全な抗がん剤・輸液投与の一助となれば幸いです。
抗がん剤の投与経路と問題点
対象のPICC患者とその留置方法
合成高分子コーティングを施したPICC
合成高分子コーティングを施したPICCの利点を生かすために
原著:Effectiveness of Synthetic Polymer-coated Peripherally Inserted Central Catheter in Patients With Advanced Cancer
https://iv.iiarjournals.org/content/invivo/33/3/877.full.pdf
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