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3-6.経口薬与薬時の対策

抗がん薬取り扱いと曝露対策

筆者

秋田大学大学院 医学系研究科
保健学専攻 基礎看護学講座 准教授
長谷部 真木子 先生

 抗がん薬を経口で投与する場合も曝露防止に留意する必要があります。患者の服用状態により剤形の変更を考慮する場合は、薬効に影響を及ぼすことがあるので、薬剤師とよく相談してから実施します。勝手に潰す、粉砕、溶解してはいけません。経口薬は在宅で服用する場合も多いと予想されるため、家族の曝露防止にも留意する必要があります。また他の薬剤とは別に保管し、在宅ではキッチン等は避けましょう。下記、具体的な曝露対策です。

患者自身で服用できる場合

  1. 手洗いをする。
  2. PTPシート(Press Through Package)に入っている場合は、テーブルや手に取り出さず、専用の使い捨て薬杯に入れて服用する。薬袋に入っている場合のカプセルや錠剤もテーブルや手に取りださず、薬袋を開封し、薬袋から直接服用する。散剤の場合は他に飛散しない様に十分に注意して口腔内へ入れて服用する。手や周囲に抗がん薬が付着するのを避ける。白湯を飲むカップも使い捨て製品が望ましい。
  3. 薬杯や薬袋やカップをビニール袋に入れて口を縛り廃棄する。
  4. 手洗いをする。

患者自身で服用できず介助が必要な場合

  1. 手洗いをする。
  2. 介助者はガウン、手袋、マスクを装着する。散剤を取り扱う場合には保護めがねも装着する。
  3. 直接薬剤に接触しない様に、PTPシートに入っている薬剤は使い捨て薬杯に入れる。薬袋に入っている場合は、薬袋を開封し、薬袋から直接口腔内へ薬剤を入れる。散剤の場合は他に飛散しないよう十分に注意して口腔内へ入れる。白湯は使い捨てカップとストローで飲ませる。
  4. 薬杯、薬袋、カップ、ストロー、防護具をビニール袋へ入れて口を縛り廃棄する。
  5. 散剤などで周囲が汚染された場合は、前掲の「抗がん薬がこぼれた時・曝露された時の対処」を参照に実施する。
  6. 手洗いをする。

経鼻胃管や腸ろうからの場合

薬剤を直接注入できないので、倉田らが考案した「簡易懸濁法」1)を用いて薬剤を溶解し与薬する。

  1. 手を洗う
  2. ガウン、手袋、マスク、保護めがねを装着する。
  3. 吸水性シートの上でカテーテルチップに抗がん薬を入れ、約55℃の温湯を20ml吸い上げる。
  4. カテーテルチップに筒先キャップを装着し、静かに撹拌する。
  5. 薬剤が溶解するまで10分以上静置する。
  6. 投与直前に撹拌して溶解を確認する。 上記の操作は安全キャビネット内で実施することが望ましい。
  7. 注入時も防護具を装着する。
  8. 注入口の下に防水シーツを敷く。
  9. 注入口とカテーテルチップの接続部をガーゼで包み、ゆっくりと抗がん薬を注入する。
  10. 注入が終了したら、カテーテルチップで白湯を吸引し注入する。
  11. すべて注入が終了したら、カテーテルチップを取り外し、注入口を閉鎖する。
  12. 使用した物品を全てビニールバックに入れて口を縛り廃棄する。
  13. 手洗いをする。

引用文献

  1. 藤島一郎監修・倉田なおみ著:内服薬 経管投与ハンドブック-簡易懸濁法可能医薬品一覧、第2版、時報、2012. (簡易懸濁法の図)看護師のための抗がん薬取り扱いマニュアル 曝露を防ぐ基本技術 第2版 p60 図43 引用

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