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Case report

fORum Vol.10
見えない穿孔に、見える対策を。

手術用手袋

手袋

感染対策

fORum-手術室向け-

監修

山形大学医学部附属病院
検査部 部長
病院教授 感染制御部 部長
森兼 啓太 先生

監修者からのひとこと

手術室に潜む“見えないリスク”に、私たちはどこまで備えられているでしょうか。
針刺し・切創は、時に医療従事者の人生を左右する重大な事象です。
完全には避けがたいこのリスクに対し、二重手袋は抜本的対策として再評価すべき選択肢です。

Executive Summary

手術用手袋の微小穿孔の多くは気づかれないまま術者・介助者の血液・体液曝露リスクを高める。したがって、対策は「穿孔を起こさないこと」だけでなく、「穿孔は起こり得る」ことを前提として設計する必要がある。

2026年に公表された国際専門家コンセンサスでも、二重手袋、インジケーター手袋、適切なフィッティング、時間または工程に基づく交換を組み合わせた手術用手袋運用の重要性が整理されている。

無作為化試験のメタ解析では、二重手袋は一重手袋に比べて手袋穿孔リスクを有意に低減し、内層バリアの維持を通じて職業曝露リスクの低減に寄与し得ることが示されている。二重手袋の中核的な価値は、外層に微小穿孔が生じても、内層手袋によるバリアを維持できる点にある。

一方で、二重手袋が手術部位感染(SSI)を直接低減することを示すエビデンスは一貫していない。しかし、手袋穿孔の抑制と穿孔時の手袋交換運用を標準化することは、無菌性維持と職業曝露予防の両面で合理的である。

導入にあたっては、適用範囲、交換トリガー、教育、評価を一体として設計し、現場で回る仕組みとして定着させることが重要である。本稿では、そのためのエビデンスと実装の考え方を整理する。

Contents

手術室における針刺し・血液曝露リスクの現状

臨床データが示す手袋穿孔の発生状況

気づかれない穿孔と二重手袋の実務的価値

  • 追加バリアとしての意義
  • Evidence Box:Ⅰ
  • 無菌性維持・SSIリスク管理との関係
  • Evidence Box:Ⅱ

触覚・操作性への懸念と例外管理

  • 操作性に関する研究結果
  • 実務上の対応と例外ルール

院内標準化に向けた実装・運用設計

  • 導入・運用設計の基本枠組み
    1. SOPの設計
    2. 教育設計(最小限の導入教育)
    3. 物品・供給設計
    4. 導入効果の評価指標と評価方針

結語:見えない穿孔に、どう備えるか

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