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カーディナルヘルス メールマガジン コラム【第3回】
PICC交換時の最終手段
ガイドワイヤを経由したPICC交換の方法について

著者:医療法人 明和病院
総合診療科 診療看護師 森田 真純 先生
はじめに
PICC留置の患者においてPICCの入れ替えを必要とする症例が少なからずあります。特にProximalルーメンの閉塞や半抜去等あれば新たに末梢から血管を確保してPICCを抜去し、後日再挿入することが多いでしょう。
しかし、TPNを継続したいのでPICCを入れ替えたいが血管がない、麻痺側や手術等の影響で対側の血管を使用できない、または、PICCを入れている反対側から穿刺して挿入を試みたがガイドワイヤが腋窩から先に進まない、さて、どうしようとなったとき、皆さんはどのように対応されていますでしょうか。今回は留置されているPICCを利用して、ガイドワイヤを使用した交換方法についてご紹介したいと思います。
当院でのガイドワイヤを用いたPICC交換の現状
私は2020年4月に着任し、循環器内科の指導医の下でPICCダブルルーメンの挿入を開始しました。
PICC件数の推移としては図1の通り順調に留置件数を伸ばしてきました。その中で、自己抜去、感染、閉塞等の理由で再留置もしくは交換を要する症例も少なからず認めます。ガイドワイヤを経由して交換したPICC件数の推移は年間3-4件であり、割合としては1%前後となります。4年間で14件の内訳は「交換のための痛みを抑える目的」が1件、「挿入14日間前後でのProximalルーメンの閉塞や半抜去などのトラブルでの交換」が7件、「上肢の拘縮や凝固障害などの穿刺困難な場合」が5件、「交換のタイミングで対側から穿刺・挿入を試みたが入らなかった場合」が1件となりました(図2)。それまでに使用していたカテーテルの使用日数は平均19.6日(最大51日、最小3日)でした。


ガイドワイヤを経由したPICC交換の方法について
現在実施しているガイドワイヤを経由したPICC交換の方法について具体的に記述します。
①PICC使用中の場合は新たに末梢を確保し、輸液をPICCから末梢へ切り替える。
②Distal、Proximalルーメン両方をクランプする。(図3)
③上腕の下にシーツを広げる(易感染者の場合には滅菌シーツを使用することもある)。
④PICCが抜けないよう慎重にドレッシング材を剥がし、ポビドンヨード等の消毒薬で2回消毒する。(図4)
⑤実施者は滅菌手袋、滅菌ガウンを装着する。
⑥PICCのプライミング後、付属の穴あきドレープでテープを剥がさずに刺入部を被覆する(テープを剥がしてしまうとPICCが粘着部にくっついてしまうため)(図5)
⑦滅菌ガーゼを用いて挿入中のPICCをつまみ、ポビドンヨード等の消毒薬でさらに消毒。特に、Distal側であるライトグリーンのルーメンはガイドワイヤを通すため、より念入りに消毒。(図6)
⑧両手に滅菌ガーゼを把持し、Distal側の閉鎖式プラグを外す。(図7)
⑨Distal側からガイドワイヤを挿入して、クランプを解除し進める。透視下の場合は挿入中のPICCの先端からガイドワイヤが出てきたことを確認する。
⑩PICCを抜去する。(図8)
⑪PICCを抜去した後は、留置時のガイドワイヤ挿入後の手順と同様となり、新しいPICCの挿入を開始する。
以上のような方法で実施しています。






ガイドワイヤを経由したPICC交換後の経過
ガイドワイヤを経由して交換した14件のうち、12件は発熱なく経過しました。そのうちPICC挿入のまま転院した症例4件、不要抜去となった症例3件、自己抜去となった症例2件、死亡抜去となった症例2件、再度ガイドワイヤを用いて交換した症例1件でした。
発熱した2件については、交換後12日目、19日目に発熱し、いずれも抜去したカテーテルの先端培養で菌が検出されました。ガイドワイヤを用いた交換とカテーテル感染との因果関係は不明ですが、カテーテル内の血栓等をガイドワイヤによって体内に押し出してしまうリスクや交換時のガイドワイヤの感染のリスクは考えられます。そのため、発熱している場合などカテーテル感染を生じている可能性のある場合やDistal側(ライトグリーンのルーメン)の閉塞が生じている場合はガイドワイヤ経由での交換は避けるようにしています。
最後に
現在、PICCは様々な形状が考案され、発売されています。PICCを用いた輸液療法を実施する中で、できるだけ患者の負担を最小限にする必要性を感じています。そのような中で、当院で使用しているカテーテルはオープンエンドタイプであることから、状況に応じてガイドワイヤを経由した交換方法が可能になり、ガイドワイヤの操作性も良く、カテーテル抜去・交換時の血管損傷のリスクを回避できるので有用であると実感しています。
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