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カーディナルヘルス メールマガジン コラム【第4回】
看護師が切り拓く新たなケアの時代~PICCチームによる専門性と組織力の向上〜

著者:藤田医科大学保健衛生学部
看護学科准教授/診療看護師(NP) FNP長補佐/特定行為研修指導者 酒井 博崇 先生
末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は、長期間の静脈路確保が必要な患者に対して非常に有効な選択肢であり、その挿入技術は医療の重要なスキルの一つです。近年、医師のみならず、特定行為研修を修了した看護師もPICC挿入が実施される機会が増えています。この技術・管理に「看護の視点」が含まれることで、医療チーム全体の効率向上や患者ケアの質の向上が期待されます。こうした状況を踏まえ、看護師がPICC挿入を担い、チームで管理する体制を整えることは、看護師の役割拡大だけでなく、組織的なメリットも多いと言えるでしょう。
PICC挿入における看護師の役割と意義
看護師がPICC挿入を行う意義は大きく二つに分けられます。一つは、患者の生活に合わせたタイムリーなケアです。看護師がPICC挿入を行うことで、挿入のタイミングを医師のスケジュールに依存することなく調整でき、患者の処置が円滑に進みます。特に、急性期病棟やICUなどでは、時間が重要な要素となるため、こうした柔軟性は大きな利点です。
もう一つは、看護師自身の専門性向上とキャリアパスの拡充です。PICC挿入という高度なスキルを修得することで、看護師はより専門性の高い役割を担い、チーム医療における貢献度を高めることができます。特に、特定行為研修を通じて教育を受けた看護師が知識や技術を活用することで、チーム全体の医療提供能力が向上し、看護師がリーダーシップを発揮できる場が広がります。
PICCチームの設立と運営の意義
欧米では看護師主導のPICCチームが一般的となっています。PICC挿入のスキルを持つ看護師が中心となり、院内で「PICCチーム」を組織することは、組織全体に多くの利益をもたらします。まず、チームの存在により、PICC挿入が必要な患者に対して一貫性のあるケアが提供されます。挿入の技術だけでなく、感染予防やカテーテルの管理も含めて、トータルケアが可能となります。PICCチームが責任を持って管理することで、カテーテル関連感染症のリスクも軽減され、患者の安全性が高まることが期待されます。
また、PICCチームの運営は組織の効率化にも寄与します。看護師が院内のPICC挿入を一手に引き受けることで、医師の負担が軽減されます。さらに、院内の各部署と連携し、PICCが必要な患者のスクリーニングやフォローアップを効率的に行うことができるため、組織全体の医療提供プロセスがスムーズになり、コスト削減も期待できるでしょう。
看護師教育の充実とキャリアパスの拡充
PICCチームの成功には、看護師の教育が不可欠です。看護師がPICC挿入技術を習得するには、特定行為研修の受講や、修了後のフォローアップが必要です。その教育体制を整えるためにもPICCチームは役割を発揮します。当院では修了者による屋根瓦式教育、看護師に向けた留置後管理の勉強会を開催しています。また、PICC挿入技術は、看護師のキャリアパスの一環として位置づけることができ、特定の専門分野での高度なスキルを持つ看護師を育成する基盤となります。これにより、看護師はサポート役から、医療チームの中で重要な役割を果たす存在へと進化します。
当院におけるPICCチームの歴史
当院では2015年から診療看護師(NP)によるPICCチーム(院内のPICC挿入を当番制で担当する)を立ち上げました。現在では年間1600本、院内のPICC挿入件数の9割を診療看護師(NP)が担当しています。しかし順風満帆だったという訳ではありません。医師や看護師、診療放射線技師など病院、医療スタッフに認知・理解を頂き、徐々に協力体制を構築していきました。フォローアップの体制や教育体制も、チームを構築する中で、整備していきました。その中でPICC挿入を看護師ができるということが、医療や病院に対して大きなインパクトがあると感じていたのは、私たちの原動力となりました。特定行為研修修了後の実績や役割拡大に悩んでいる方も多いと思いますが、PICC挿入は存在を示す一つになったと思います。
まとめ
看護師がPICC挿入を担う体制を整え、チームを組織的に運営することは、看護師自身のスキルアップやキャリア形成に寄与するだけでなく、組織全体の医療提供能力を向上させる大きな意義があります。PICCチームの設立は、患者のケアの質を高め、感染リスクを減少させ、効率的な医療提供を実現するための重要なステップとなるでしょう。このような取り組みを通じて、看護師が持つ可能性を最大限に引き出し、チーム医療のさらなる発展に寄与することが期待されます。
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