Case report ケースレポート

Chorusline Vol.57
その一本が、医療に“ 対話” を取り戻す
Midline で変わる意思決定の現場
背景と目的
高齢者医療におけるPICCの代替として、低侵襲かつ中期的な静脈アクセス手段として注目される「Midlineカテーテル(MLC)」。本レポートでは、川西市立総合医療センターにおけるMLCの導入事例と、臨床現場での活用実績をもとに、その安全性・有用性・患者体験(PX)・職員体験(EX)への影響を多角的に検証しています。
Midline(ミッドライン)カテーテルの導入と運用
川西市立総合医療センターにおける使用方針
- 2024年3月より導入、年間168件の挿入実績
- PICCと比較して侵襲が少なく、書面での同意不要
- NPや特定行為研修修了看護師が主体的に挿入・管理
- PICC使用件数が半減し、デバイス選択の最適化が進行
川西市立総合医療センターにおける主な適応と使用対象
- 高齢で末梢静脈確保が困難な患者
- 長期治療が不要な抗菌薬・点滴投与
- 認知症・せん妄リスクのある患者
- PICC使用中に感染歴がある患者
- 妊婦や脳卒中患者など、穿刺がストレスとなるケース
症例
症例①:誤嚥性肺炎患者へのMidlineカテーテル活用とルート安定による治療継続
- 概要:誤嚥性肺炎の高齢男性、毎日の穿刺で疼痛・せん妄が悪化、自己抜去のリスクも高い
- 対応:MLCを使用して安定した静脈ルートを確保
- 効果と活用ポイント:疼痛・せん妄の軽減、身体抑制の解除、嚥下リハと栄養管理並行実施。TLT(Time-Limited Trial)を導入し、治療方針の共有と意思決定を支援。
症例②:廃用終末期患者におけるMidlineカテーテル活用とACP支援
- 概要:終末期の高齢女性。PICCによる感染と自己抜去、再挿入は避けたい
- 対応:MLCを使って短期治療を実施し、家族とACP(Advanced care Planning)がを進める
- 効果と活用ポイント:治療の限界を共有し、穏やかなケアへの移行を家族と合意。MLCが「考える時間」を提供するツールとして機能。
結論と今後の展望
Midlineカテーテルは、単なる静脈ルート確保手段ではなく、患者中心の医療を支えるインフラとしての可能性を持つデバイスです。
今後は、適応基準の整備、安全性データの蓄積、患者体験(PX)・職員体験(EX)の定量評価を通じて、より広範な臨床応用が期待されます。
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