Case report ケースレポート

Novellus Vol.54
脂肪製剤投与におけるフィルタ使用の有用性
はじめに
当院では、脂肪製剤の静脈投与を行う新生児に対し、安全で効率的な投与を実現するため、脂肪製剤用フィルタを導入した。このフィルタは、微生物や脂肪小滴や異物を除去し、患者の安全を守ることを目的としている。本稿では、当フィルタの有用性について詳述する。
施設・部署の紹介・特徴
当院での輸液管理
新生児医療において、栄養管理は生命維持に直結する重要な課題である。特に早産児や低出生体重児においては、腸管の栄養吸収能力が未発達であり、輸液による栄養補給が生命維持に不可欠となる。
当院では主に、静脈栄養を必要とする在胎34週以下の患者に対して、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PIカテーテル)と閉鎖式輸液回路を使用して、必要な栄養素や薬剤を安全かつ効果的に投与している。勿論必要があれば正期産児でもPIカテーテルを使用している。留置が長期化する場合、カテーテルのハブ部分による皮膚圧迫から褥瘡を生じることがあるため、クッションとなるドレッシング材を敷いて対策を行っている。刺入部を露呈させるために、刺入部からの出血予防には綿球を用いずに医療用接着剤を利用している。PIカテーテル維持のための抗凝固剤は使用せず、また定期的なカテーテル交換や消毒、留置に伴う予防的抗生剤の投与も行っていないが、これまでの経験から安全性が確保されていると考えている。
実際の投与方法
輸液ルートの仕様
脂肪製剤投与について
脂肪製剤用フィルタを使用するようになった背景
脂肪製剤用フィルタの特徴
当院で使用している脂肪製剤用フィルタ付輸液セットは、脂肪製剤用フィルタに閉鎖式プラグやコネクタが一体化になったラインで、接続が非常に簡単なため、忙しいNICUスタッフにとって都合が良い。脂肪製剤中に含まれる人工脂肪
粒子径は0.1~0.7㎛であり、糖·アミノ酸輸液に使用する0.2㎛フィルタでは通過できない。Candida albicans、また、Candida glabrata、Candida parapsilosisといった病原性を示す酵母は2-12㎛程の大きさと言われている。本製品のフィルタの膜孔径は1.2㎛であり、大きな脂肪粒子や異物、Candidaを除去することで脂肪製剤の安全な投与が実現される。
脂肪製剤用フィルタ使用によるCandida感染発生への影響
まとめ
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