Column お役立ち情報
日頃の機器管理にて、医療機器のパーツ交換をすることはよくあるケースだと思います。今回は当社Kendall SCD™ 700 シリーズ(以下SCD700)のトラブル対応例をご紹介します。
電源コードの断線が疑われるケース
SCD700の日常点検、または充電しようと電源コードをコンセントへ接続するも操作パネルの「ACインジケータが点灯しない…」。こういった経験された方は割といらっしゃるのではないでしょうか。

このとき最初に疑うのが、電源コードの「断線」です。電源コードはベッド柵で挟まれたり、他の医療機器のキャスターなどに踏まれたりと、過酷な環境下で扱われている場合もあります。
さて手っ取り早く原因を探る方法として、別の正常な個体と電源コードを交換してACインジケータが点灯するかどうか確認することもあります。その結果、ACインジケータが点灯すれば予想通り、電源コードの不良です。一方、それでもACインジケータが点灯しない、そんな場合もありえます。そのような場合、何が原因だと予想されますか?
テクニカルトレーニングの分解組立実習がヒントに!
当社のテクニカルトレーニングを受講された方は、機器内部の各パーツの接続を思い出してください。
電源コードは操作パネルに直接繋がっておらず、下図の通り、「電源コード」→「電源基板」→「CPU基板」→「操作パネル」 の順でACラインが構成されています。

よって電源コード以外の3つのパーツも原因の候補に挙がってきます。しかしこれらを1つずつ上記と同じ方法で検証するのは大変な労力と時間がかかります。
解決への意外なアプローチ
そこで思い出していただきたいのが、テストモード(アラーム履歴の確認や定期点検で使用)です。テストモードにアクセスするには、予め電源コードをコンセントへ接続(AC状態)しておく必要があります。つまりテストモードへアクセスできればACラインは問題ないということになります。

よって今回の例では、当該機の電源コードをコンセントへ接続してテストモードにアクセスすることができれば、見た目上ACインジケータが点灯していないだけ、つまり原因は操作パネル(のACインジケータの異常)の可能性が非常に高いです。もしテクニカルトレーニング受講済みであれば、操作パネルを購入・交換可能です。
他にもACラインを確認する方法として、血液再充満検知機能(AC状態で加圧休止時間が20~60秒で変化する)が作動するかどうかを試す方法もあります。ACラインに異常がある場合、加圧休止時間は60秒一定です。
機器の特性を利用して複数の解決手段を!
今回の事象は筆者の実体験でその時は他の3つの原因を探る地道な検証をしましたが、上述のように機器の特性を利用することにより別の切り口でアプローチする方法もあります。この記事に少しでも興味を持っていただけた方には、バックナンバー「わかる!異音の原因と対応」についても製品理解やトラブルシューティングにお役立ていただけると思いますので、そちらも是非ご一読いただければ幸いです。
他の医療機器でも同じ類のケースがあるかもしれませんので、今後の皆さまの業務やトラブル対応のヒントや糸口につながりましたら幸甚です。最後までお読みいただきありがとうございました。
※一般的なテスターを使用する断線チェックの方法もありますが、今回は割愛いたしました。
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