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医療機器だけではなく自動車、電化製品、半導体機器など、さまざまな分野で使用されているOリング。パーツとしては地味な存在ですが、安全に機械を動かすためには非常に重要なパーツの1つです。今回は Oリングの仕組みを知って、より安全に医療機器の使用、管理にも繋げていただきたいというお話です。
Oリングの役目
車(オイル)、水道(液体)、エアコン(ガス)など使用上の安全を守るため、生活のいたるところに Oリングは組み込まれています。もちろん医療機器を安全にご使用いただくためにもOリングは多く使用されています。そのOリングには、以下のような大きな役目があります。
① 流体を密封(シール)し、接続部の隙間から外に漏れないようにすること
② 外部からの侵入を防ぐこと
また、Oリングの不良による事例としてスペースシャトルチャレンジャー号爆発事故があります。この事故原因は Oリングの不良により高熱ガスが漏れ、燃料に引火したためと言われています。このように Oリングの不良によって機械に致命的なダメージを与えることがありますので、医療機器の点検時には Oリングの状態もよく観察してください。
ゴム製 Oリングの特長と仕組み
密封性目的のゴム製Oリングの特長には形状がシンプルで汎用性が高い、ゴム製で安価といった利点があります。
では、なぜ密封性目的のOリングの多くがゴム製なのかというと、それはゴムの弾力(弾性)がポイントになります。
部品に取り付けられたОリングは圧縮されます。しかし、ゴムの弾力で元の形状に戻ろうとします。この弾力によって流体が抜けてしまう隙間を塞ぎ、密封性を保つことができるからです。(図1)
また、Oリングの密封性をキープするために、ネジなどを締めてもOリングが極端な変形を起こさない適切な弾力が必要です。

SCD スマートフロー、SCD700 と Oリング
SCD スマートフローと SCD700 は防水保護が付いています。(表1)
その防水効果を高めるため、外装のネジにはゴム製Oリングが取り付けられています。(図2)
※SCDExpress には防水保護がないため、ネジにOリングは付いていません。
関連情報:医療機器の防水性と防水規格


点検時に Oリングが「変形している」、「切断している」、「傷がある」、「硬さが変わっている(硬化、軟化)」など、これらの症状を発見した時は交換してください。
上記に解説がありますがゴム製 Oリングの効果を最大に発揮するためには「適切な弾力」が必要です。SCDスマートフロー、SCD700ではトルクドライバーを使用して適切なトルク(Nm)でネジを締めていただく必要があります。適切なトルク(Nm)でネジ(Oリング)を締めないと、Oリングが潰れすぎたり、逆に浮いたりして弾力による防水効果を最大まで発揮できないだけではなく、パーツの破損にも繋がります。
弊社で開催しているテクニカルトレーニングではネジ締めとトルクについても詳細を解説していますので、ご興味のある方はぜひご受講ください!
まとめ
Oリングの役目、仕組みについていかがでしたでしょうか?医療機器だけではなく生活にも身近なOリングですが、改めて解説を読む機会も少ないので、この記事がOリングの重要性を見直すきっかけになれば幸いです。
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